今回ご紹介するのは、関西屈指の進学校・大阪星光学院で下位半分、補習圏内という状況から、東京大学文科Ⅰ類合格をつかみ取った岩田さんです。
中学受験で燃え尽きた反動もあり、高校では4年間だらけてしまい、成績は思うように伸びませんでした。高2の半ばまでは部活も続けており、模試でもD判定。決して順風満帆な受験生活ではなかったそうです。
それでも、自分のペースで進められる武田塾で勉強法を立て直し、英語・数学・社会を武器に変えていったことで、最後は東大合格という大きな結果にたどり着きました。
今回は、そんな岩田さんがどのように自分に合った勉強法を見つけ、逆転合格を実現したのかをご紹介します。
東京大学を目指すまでの状況
岩田さんは、大阪星光学院に通っていました。1学年約180〜190人の中で、現役で東大に合格するのはトップ10程度という、非常にレベルの高い環境です。
ただ、そんな学校の中で岩田さんは順調だったわけではありません。中学受験で猛勉強した反動から、高校に入ってからは4年間だらけてしまい、成績は下位半分。補習圏内に入るほどの危機的な状況だったそうです。
高2の半ばまではフィールドホッケー部に所属し、勉強時間は2時間ほど。やる気のない日は全く勉強しなかったこともあったとのこと。
実際に、プロシード模試のような難度の高い模試でも偏差値は60に届かず、京都大学は最大でもD判定でした。(当時は東大志望でなかったため)
進学校にいるからといって、そのまま難関大に届くわけではない。むしろ、周りのレベルが高いからこそ、自分だけ置いていかれる感覚はかなり大きかったのではないかと思います。
武田塾を選んだ理由
岩田さんが武田塾を選んだ理由の一つは、「じっと授業を受けること」がしんどくなっていたからでした。
対面授業を受け続けるより、自分のペースで進める方が合っていると感じていたそうです。
また、補習圏内という状況もあり、精神的に余裕がなく、「1駅でも歩くのがしんどい」と感じるほどだったため、家の近くで知っていた難波校を選びました。
派手な理由ではなく、今の自分が無理なく続けられる環境を選んだことが、結果的に大きな転機になりました。
科目別の勉強法
岩田さんの勉強法で印象的なのは、ただ量をこなすのではなく、科目ごとにかなり明確な戦い方を持っていたことです。
東大のような難関大を目指すうえで必要なことを逆算し、自分なりの工夫を重ねながら、武器になる科目を伸ばしていきました。
英語は高2までに基礎を固め、高3で大問別対策に入った
英語は、高2の夏前までにかなり基礎を固めていました。使っていた参考書は、『LEAP』『英文法ポラリス1』『動画でわかる英文法読解編』『入門英文問題精講』『ルールズ1・2』『英語長文ポラリス1』などです。
これらを通して、早い段階で神戸大レベルの長文を読めるだけの基礎力を完成させていたそうです。その土台があったからこそ、高3からは東大英語に特化した対策へ移れました。
特に第1問の要約対策では、『東大の英語 要約問題UNLIMITED』を使って毎日練習。英作文は『竹岡の英作文が面白いほど書ける本』を活用し、自分の知らない表現を『LEAP』に書き込んで、左に英語、右に日本語を書いた“自分専用の表現リスト”を作っていたといいます。
単語帳をただ覚えるだけでなく、本番で使いたい表現まで一元化していた点が、とても東大志望らしい丁寧さだと感じます。
リスニングは泥臭いディクテーションで伸ばした
英語の中でも、最初は特にリスニングが全く聞き取れなかったそうです。
そこで岩田さんは、『キムタツの東大英語リスニングBASIC』を使い、一文ごとのディクテーションを徹底しました。聞こえた音をそのまま書き取るという、かなり泥臭い練習を積み重ねていったそうです。
さらに、東大本番では情報量が多く負荷が高いため、選択肢の細かい内容まで全部読むのではなく、偽の情報はあえて追わず、設問にある数字や疑問詞だけを先に見て音声に集中するという独自のスタイルを確立しました。
全部を処理しようとするのではなく、必要な情報だけを取りにいく。その発想の切り替えが、リスニングを安定得点源に変えたのだと思います。
数学は「息をするように解く」まで反復した
数学について、岩田さんは「一種の暗記」と割り切っていたそうです。
高2の終わりまでに、『Focus Gold』のⅠA・ⅡBの例題のみを完璧に習得し、問題を見た瞬間に方針が決まる、いわば“息をするようにレスポンスを返せる”レベルまで反復していました。
さらに高2の冬頃からは『文系数学の良問プラチカ』に入り、高3の最初には3問中2問は解ける状態まで仕上げていたといいます。かなり早い段階で難関大向けの数学に入れていたことが、その後の大胆な戦略につながっていきます。
東大レベルの数学では、考え込む時間を減らし、典型処理を体に染み込ませることが非常に重要ですが、岩田さんはそれをかなり高いレベルで実践していたのだと思います。
社会は教科書と苦手ノートに一元化した
社会は高3の秋から本格的に始めたそうです。短期間で仕上げる必要があったからこそ、情報の持ち方をかなり工夫していました。
日本史では教科書をメインに使い、『共通テスト 歴史総合、日本史探究の点数が面白いほどとれる本』にある平安時代の土地制度の図や、資料集の図解などをすべて教科書の余白に書き写していました。
分厚い参考書を何冊も持ち歩くのではなく、教科書一冊で東大日本史の幅広い知識に対応できるように自分でカスタマイズしていたのです。
地理では「苦手ノート」を作り、間違えた知識や統計をひたすら書き出しました。2回間違えたものは赤字にするなどして、弱点を可視化しながら潰していったそうです。
どちらの科目も、知識を散らばらせず、自分が最後に見るべきものを絞っていたことが強さにつながっていました。
模試で意識が変わった瞬間
大きな転機の一つが、高2の冬に受けた共通テスト同日模試でした。
この模試で岩田さんは、1000点満点中801点という高得点を記録します。国語は189点を取るなど、かなりインパクトのある結果でした。
しかも、冗談半分で書いていた東大が第5・6志望にもかかわらずA判定だったそうです。周囲からは「よっぽどサボらなければ京大には行ける」と言われた一方で、それが逆に火をつけ、自分をもっと奮い立たせるために東大志望を固めたといいます。
「もしかしたら行けるかもしれない」が、「本気で目指す」に変わった瞬間だったのだと思います。
高3春は英語に全振りした
ただし、高3の最初の段階では、英語、特に英作文とリスニングが東大レベルに全く届いていないことに気づきました。
そこで岩田さんは、4月から6月の約3か月間、順調だった数学をいったん完全に止め、英語だけに全振りするというかなり大胆な戦略を取ります。
これは、高2の時点で数学をプラチカまで仕上げていた貯金があったからこそできた選択です。全科目を均等に進めるのではなく、その時いちばん危険な科目に時間を集中させる判断力がありました。
結果として、直前期には東大英語120分で安定して80点台を取れるレベルにまで成長し、本番でも十分戦える力を身につけました。
岩田さん流の勉強スタイル
岩田さんの勉強スタイルは、いわゆる“バランス型”とは少し違っていました。
今日は数学をやりたいから数学だけ、というように、その日の気分に合わせて1日を特定科目に特化させるやり方を貫いていたそうです。
一見するとムラがありそうに見えますが、実際にはその方が自分の集中力を最大化できたのでしょう。やる気の出る科目を徹底的にやることで、結果的に勉強時間と密度を両立させていました。
「3日坊主も10回続ければ1か月になる」
岩田さんが大切にしていたのは、完璧な習慣よりも、まず机に向かうことでした。
習慣化するまでがいちばんしんどいからこそ、「自己満足でもいいから1日10時間やって、次の日は休んでもいい」と考え、「3日坊主も10回続ければ1か月になる」という精神で勉強していたそうです。
毎日完璧に続けられない自分を責めるのではなく、とりあえずやる日を増やす。そういう現実的な考え方が、結果として長い受験勉強を支えていたのだと思います。
武田塾での軌道修正
高3になると、東大を目指す焦りから、どうしても参考書の進め方が雑になってしまう時期もあったそうです。
そんな時に支えになったのが、難波校の講師陣でした。河村先生などから「質を意識した勉強」に戻るよう指摘され、勉強の雑さをその都度修正してもらえたといいます。
ただ量をこなすだけでなく、今のやり方が正しいかどうかを見てくれる存在がいたことが、スランプを防ぐ大きな要因になっていました。
自分では頑張っているつもりでも、方向がズレていれば結果にはつながりにくい。そこを冷静に戻してもらえる環境は、東大のような高い目標を追ううえで非常に大きかったはずです。
岩田さんの受験から学べること
岩田さんの受験から伝わってくるのは、進学校にいるから安心でもなければ、下位にいるから終わりでもないということです。
補習圏内からでも、自分に合う勉強法を見つけ、必要な時期に必要な科目へ思い切って全振りし、雑さが出たらまた質に戻る。そうした柔軟さと覚悟があれば、東大のような最難関にも届く可能性は十分にあります。
特に印象的なのは、「授業が合わない」「遠くまで通うのがしんどい」といった一見些細に見える悩みも、きちんと自分の中で無視せず、続けられる環境を選び直したことです。
受験は気合だけでは続きません。だからこそ、自分にとって本当に続けやすい形を見つけ、それを信じて積み上げることの大切さを、岩田さんの逆転合格は教えてくれます。






