問題集を使った再構築の仕方
さて、再構築はどのようにすればいいのでしょうか。
私たちはいつも「全問正解」という言葉を使っています。
普通の生徒の問題集の解き方
あるごく普通の生徒A君の数学の問題集の解き方は下のようだと思います。
数学の問題10題を解いてみる。
解答解説を見て、○つけをする。
問題の解答解説を熟読し、間違った問題を中心に理解を深める。
次の10題に進み、同じ手順で進める。
このやり方になんの違和感を感じないかもしれません。
しかし、このやり方では成績は非常に伸びにくいのです。
問題点はいくつかありますが、大きな2つの問題点を挙げてみます。
1. 解説を読んだだけで身についたか?
数学の問題を間違え、解説を読んだだけで果たしてその問題は身につくのでしょうか?
答えはNOです。
もし、数学の解説を読んだだけ、理解しただけで身につくのなら、今まで解き解説を読んできた参考書、問題集、教科書の問題を今解きなおせばすべて正解できるということになります。
しかし、現実はそうはいきません。
解説を読むだけ、理解するだけでは身につかないことは「理解」「再構築」「記憶」のところで書きました。
このAくんはまさしく「理解」しただけであり、自分で実際に解けるようになっているかわからないのです。
2.復習するポイントはわかるか?
解答解説を見て、合っていたかマルをつけると思いますが、
そのときに必ず、参考書にも正解だったのか不正解だったのかを書いているでしょうか?
書かなかった場合にはどの問題を重点的に復習すればいいかわからなくなってしまいます。
この問題点を考慮したうえで、正しい勉強のやり方を以下に書きます。
正しい問題集の解き方
数学の問題10題を解いてみる。
解答解説を見て、間違えた問題には×を、正解した問題にはもう二度と解かないでいい印をつける。
問題の解答解説を熟読し、間違った問題を中心に理解を深める。正解した問題は知らない知識の確認のみ。
×のついた問題を解きなおす。
再び間違えたものに×をつけ、全て1度正解するまで繰り返す。
次の10題に進む。
これが正しい勉強のやり方です。
このやり方のいいところは以下の点です。
1.理解だけでなく、再構築を成功させてから先に進む。
勉強は「理解」しただけでは身につかず、「再構築」が必要だと書きましたが、この方法でやれば必ず1度は自分で正解までたどり着かないと先に進めないので、必ず再構築をすることになります。
2.復習のときポイントが明確になる。
正解した問題に知らない知識が含まれていなければもうその問題を復習する必要はないため、二度と解かなくて良いです。
さらに×の多い問題ほど自分にとっての難しい知識だということになるため、
復習をする際に「×のついたものだけを復習しよう」ということや
「あまり日にちがあいていないため、3個以上×のついた覚えにくい知識だけを復習すれば大丈夫」
などと復習が効率的に出来るようになります。
「×をつける」という威力
×をつけるメリットは計り知れません。
問題集に何も印をつけずに最後まで解くのと、間違えた部分に×をつける場合では圧倒的に効率が変わってきます。
100題掲載されている数学の問題集があったとします。
この参考書を全問正解にすることを目標としたとき、4周参考書を勉強するとします。
A君は問題集にまったく印をつけずに4周した。
B君は間違った問題に×をつけ、その問題を中心に4周した。
A君は印をつけていなかったので、一回目に正解した問題も間違えた問題も同じペースで復習をしました。
そのため、1周目100問、2周目100問、3周目100問、4周目100問解き、
延べ400問の数学の問題を解くことによって数学の参考書を完璧にしました。
B君は間違えた問題に×をつけていたので、2周目以降は×のついた問題と正解した問題の知らない知識のみを確認するのみで進みました。
さらに、3周目以降は2周目で間違えなかった問題は飛ばしました。
そのため、1周目100問、2周目60問、3周目50問、4周目50問解き、
延べ260問の数学の問題を解くことによって数学の参考書を完璧にしました。
以上のように、間違った問題を中心に復習したほうが、同じ知識を身に付けることにおいて圧倒的に早いのです。
全問正解における×をつける方法の詳細説明
×をつけるやり方というのは少し感覚的な方法ではあります。
綺麗にマニュアルにすることもいいが、感覚的な部分を残していったほうが効率的な勉強方法になると思います。
ですから、このやり方を読んで自分なりにアレンジしてください。
間違えた問題に×を、自信がなく正解した問題に△を、絶対の自信を持って正解した問題には二度と解かない印をつける。
解答解説を読み、正解した問題は知らない知識の確認、間違えた問題はどこで間違えたのかをこだわる。そして、間違えた問題だけを解きなおす。
再び間違えた問題に×をつけ、同じ作業を繰り返す。
自分の今日決めたノルマの問題数をこなした後、間違えた問題だけをもう一度解き直してからその日の勉強を終える。
というのが基本です。
ここから少し複雑になります。
時間が置いてからの復習の方法です。
復習を何日後にやるべきかは、「記憶のポイント〜忘却曲線〜」の部分で話をします。
復習の方法
△のついた問題と×のついた問題しかやらない。
△の問題には間違えたら×を、正解したら二度と解かない印をつける。
×の問題を間違えたら、もう1つ×を加える。
しかし、この日に書く×は今日書いたものだとわかるように×の形を変えるか、色を変えるなどすること。
今日間違えたもののみを全問正解にする。
ノルマが終わったら、もう一度その日間違えた問題のみだけを解きなおす。
以上が復習の方法になります。
詳しい理由は忘却曲線のところに書きますが、1度全問正解にすることが重要であるため、
その日に間違えた問題のみを全問正解の状態にすれば大丈夫です。
復習時なので、1度は全て解けるようにした問題です。
その状態をもう一度作り出し、何度も100%解ける状態に持っていくことを繰り返すことが目的です。
普通の勉強のやり方のように、間違えた問題に×をつけて解説を読んだだけで先に進むのでは、
その日にその問題が解けるようになっていません。
毎回100%にする、全問正解にすることによってメンテナンスをするのです。
各自のアレンジの要素
二度と解かないでいい印は各自で考えてください。
私は設問番号に大きく×をつけていました。◎を書く生徒もいました。
そこは各自で決めてください。
また、復習を何回かしている際、間違えた問題(×がついた問題)だけをやっていましたが、×が1個か2個しかついていない問題は間違えないことに途中で気付いたとします。
そういうときは、×が3個以上の問題だけを復習し、×が少ないあまり過去に間違わなかった問題に関してはとばすなり、軽く解説を見るだけにするということをしてください。
ここは各自の感覚に頼らざるを得ない部分ですが、要は「正解するならしなくていい。忘れた部分だけを常に思い出し、100%にする」というのが目的です。
そのためのアレンジは各自でしてください。
間違えた問題だけを紙にまとめて何度も見るようにするのもいいですし、3個以上×のついたものは毎回勉強を始める前に軽く確認してから始めるなど、100%の状態、全問正解の状態を維持するためには工夫を凝らしてください。
特に模試前に一気に復習する方法などを確立していると、入試本番前の調整などにも強くなります。
全問正解のまとめ
全問正解にするというのは、全てその日は全て解けるようにするということです。
その日に解けないのに、次の日に解けるようになっているわけがないですし、一度解いた問題も解けるようになっていないのに、一度も解いたことのない模試の問題、入試問題が解けるようになるわけはないのです。
だから必ず、一度「理解」した問題は「再構築」し、100%全問正解の状態を常にキープしてください。
そのキープのために使う目安「忘却曲線」に関しては「記憶のポイント〜忘却曲線〜」の記事を御覧ください。