中学校の内容よりも格段に難しくなる高校数学。
中学までは数学が得意だった人でも躓いてしまうことが多いのではないでしょうか。
そこで、今回は数学Ⅰ・A、数学Ⅱ・Bの中でも躓きやすい「場合の数と確率」「三角関数」「ベクトル」「数列」の勉強方法をご紹介します。
苦手分野を克服して数学の成績アップを目指しましょう。
<場合の数と確率>
公式はあるのものの、どの公式に当てはめるかを判断するのが難しい「場合の数と確率」。
そんな「場合の数と確率」はただ闇雲に暗記したからと言って問題が解けるようになる訳ではありません。
そこで、ここからは「場合の数と確率」の勉強方法についてご紹介していきます。
基本事項や基本的な法則を押さえよう
順列・組み合わせ・積の法則・和の法則といった「場合の数」の基本や、独立試行・反復試行についてまずは押さえましょう。
確率の問題の大半はこれらを使って考察していくことになります。
問題文からどの場合に当たるのかを判断できるように、基本問題でじっくりと身につけてください。
また、確率は「各根元事象の起こり方が同様に確からしい」という状況で考えなければいけません。
確率を苦手としている人はこの部分をきちんと捉えていない人がいますから、注意してください。
暗記せず、じっくりと理解すること
他の分野の問題にはいわゆる解法の定石があり、「このような問題はこう解く」と理解すればある程度までは通用します。
しかし確率は、PやCの計算法・意味の理解に加え、その解法の本質的な意味をしっかりと理解できていないと定石的な問題であっても解くことができず、解法の暗記が最も通用しない分野の1つでしょう。
ですから、問題演習を行って答えあわせをする際には丸暗記してしまうことはせず、時間をかけてでもじっくりと考えて、理解してから次の問題に進むことが大切です。
図を描くなどして条件を整理してから考る
確率の問題を解く際は、実際に確率の問題を解く際、問題文を読んでいきなり式を立てるのではなく、まずは問題文が言っている内容を図に描いてみることをお勧めします。
その際のポイントとしては、そこで起こっている事象と、問題が最終的に求めるよう要求している答えをスムーズにつなぐような図を描くことです。
図はうまく描かないと、煩雑になるだけで理解しにくくなってしまいます。
できるだけポイントをおさえ、簡潔な図を描くことで、式を立てる際のヒントにしてみましょう。
<三角関数>
定義や定理、公式が複雑に絡み合っている三角関数。
教科書を読んだり公式を覚えても上手く解けない方も多いのではないでしょうか。
ここからは三角関数の勉強法について解説していきます。
定義、定理、公式の使い方を確認しよう
まずは三角比(教科書で言うと「図形と計量」)が理解できていることが前提となります。
数学Iの教科書で該当部分を参照し、三角比の定義、“三角比の相互関係”の式を使いこなせるか、主な角度の三角比の値をぱっと答えられるか、といった内容をまずは確認しましょう。
これらの基本がしっかりと理解できているようでしたら、正弦定理や余弦定理の確認に移ってください。
公式は、覚えるだけでなく、使いこなせなければ意味がありません。覚える際には、ただアルファベットとして覚えるのではなく、三角形のどこの辺とどこの角が対応しているのかを照らし合わせながら覚えるとよいです。
例えば、図を見て「この辺とこの角の値がわかっているから、正弦定理が使えるな」と図から判断できるように、視覚的に理解しておきましょう。
弧度法に慣れること
数学Iの三角関数を理解するにあたっては、まずは弧度法の表記に慣れましょう。
これも上記と同じく、角度に対する弧度をパッと答えられるくらいまで徹底的に覚えてください。
そして、数学Iで学んだのは 0°から180°までの三角比でしたが、数学IIではこれを一般角にまで広げて定義し直しています。
その定義を教科書をよく読んでしっかりと理解しましょう。
各値を自分で表に整理してみるのもよいかもしれませんね。
グラフを理解して、応用問題に生かしていこう
三角方程式や三角不等式に答える場合は、グラフの理解が欠かせません。
まずは基本である y=cosθ などのかき方を理解した上で、そのグラフを
θ軸方向にどれだけ平行移動したものなのか ( y=cos(θ+π)など)
θ軸方向に何倍したものなのか ( y=cos4θなど)
θ軸方向に何倍したものなのか ( y=3cosθなど)
を整理してみましょう。
さらに、三角関数では加法定理を始めとして覚える公式が多いですから、問題演習で使用していくなかで自然に覚えるようにするとよいでしょう。
三角関数は定義や公式を理解するところから始まりますから、まずは覚えなければどうにもならないのですが、このとき先述したように、視覚的に理解することが非常に大切です。
問題を解く際、図に表せるものは省略することなく、自分で実際に図をかいて考えることを心がけてください。
<ベクトル>
数学Ⅱ・Bの中でも最初に立ちはだかる壁であるベクトル。
そんなベクトルは基本概念を覚えることに苦戦しますよね。
そこで、ここからはベクトルの勉強法についてご説明しますので、参考にしてみてください。
まずは平面ベクトルをしっかりと理解しよう
ベクトルは、第一に基本概念を押さえることが重要です。
まずは平面ベクトルについて、ベクトルの成分表示、計算方法、内積、一次独立、ベクトル方程式を理解できているか確認しましょう。
次に、空間ベクトルについての基本問題を解けるように、教科書の例題や練習問題を解いてみるとよいと思います。
ただ平面ベクトルの次元を一つ上げただけ(x,y から x,y,z になる)として捉えるのではなく、図を描いて場面をイメージしながら考えるようにしましょう。
空間ベクトルは平面ベクトルに1成分を増やしただけで、基本的な計算方法や式の形は平面ベクトルのそれと同じですが、式の表わす状態を正確にイメージできなければ答えられないところに難しさがあります。
ですから、まずは基本的な問題を確実に解けるように、基本問題演習を繰り返してみてください。
断面図を描いて2次元で考えてみよう
空間ベクトルの問題を解く上でぜひおすすめしたいのが、断面図を描くことです。
奥行きをつけた図も、問題文に示された状態を把握するのにはよいのですが、空間図形はなかなかイメージがつかめないものです。
3次元で考えるとわからないものも、2次元つまり平面に次元を下げることで、平面ベクトルと同様に考えることができます。
ある面で切断した図(例えば xy,yz,zx 面など)を描いて考えてみてください。
ちなみに、xy,yz,zx 面で切断することは、それぞれ x,y,z 成分を固定することに当たります。
ベクトルは他の分野に比べると捉えにくいところがあるので、基本問題をひととおり解いて基礎を十分に固めてから、少し難しい問題に取り組むとよいでしょう。
<数列>
解法を見てもいまいち分かりづらい数列。
教科書を読んでもさっぱろ頭に入ってこないという方が多いのではないでしょうか。
ここからは、数列の勉強方法についてご紹介します。
公式や解法は意味を使えるようにすること
数列は公式や漸化式の解き方のパターンなどが多く、公式ごとになのかなのかなど細かな違いがあり、それらを正確に覚えて使えるようになるだけでも大変です。
そこで、迷った時には公式や漸化式の意味から捉え直す習慣をつけるようにするとよいでしょう。
公式や基本的な漸化式の解法は丸暗記するのではなく流れから理解することで、基本問題だけでなく応用問題にも対応できるようになります。
融合問題の対策をしよう
教科書傍用の問題集で公式や基本となる解き方などをマスターした上で、注意したいのは他分野との融合問題です。
数列分野で学んだことは、場合の数や確率の問題で漸化式を利用して解いたり、数列の極限を求めたりといった他分野との融合問題の中でも必要になってきます。
基本を押さえた上でより実戦的な問題集や実際の入試問題を解くことで、このような融合問題の演習も積んでおきましょう。
整数問題とは、約数・倍数の問題、整数の割り算における余りの問題、方程式・不等式の整数解の問題など、整数特有の性質についての問題のことで、東大・京大・一橋大などの難関大では好んで出題されます。
数学の数ある分野の中でもかなり難しい分野であるといえます。
数学の分野別勉強法|まとめ
今回、数学Ⅰ・A、数学Ⅱ・Bの中でも躓きやすい「場合の数と確率」「三角関数」「ベクトル」「数列」の4つの分野ごとに勉強法を解説しましたが、いかがだったでしょうか。
「場合の数と確率」は何よりも先に基本事項や基本の法則を覚えることが重要です。
三角関数は公式の使い方を確認したり、弧度法に慣れることが有効です。
ベクトルは図を書いて2次元にして考えると理解しやすいでしょう。
最後に数列は公式の意味までしっかりと理解できると使いこなせるようになります。
数学の苦手分野を潰して成績アップを目指しましょう。