この記事を読んでいる方は、「1の三乗根(オメガ)の性質を答えよ」と言われて即答できるでしょうか?
この記事では、数学Ⅱの範囲から1の三乗根(オメガ)について、
・1の三乗根とはなにか
・1の三乗根の3つの性質
・練習問題
について解説しました。
練習問題では解き方を詳細に解説し、また必要に応じて指数法則の確認も行ったため、ωの計算に不安がある方におすすめです。
数学は、性質を理解するだけでなく実際に問題を解いてできるようになるまで理解することが重要なため、必ず演習をするようにしてください!
どの参考書や問題集を使うか悩んでいる方は、以下のコラムでわかりやすい参考書を紹介しているため是非参考にしてください。
1の三乗根とは
1の3乗根とは3乗して1になる数のことで、計算すると以下のようになります。
x3=1
x3-1=0
(x-1)(x2+x+1)=0
よって、x=1,x2+x+1=0
ゆえに、x=1,\frac{-1\pm\sqrt{3}i}{2}
「1の3乗根の解のうち虚数のものをω(オメガ)」と表すと、虚数の解が2つあり、もう一方の解はω2と表されます。
よって、x3=1の解は、1,ω,ω2になります。
1の三乗根の性質
先ほど1の三乗の計算式を紹介しましたが、上記の式から1の三乗根の3つの性質を求めることができます。
以下では3つの性質がどのようにできたのかを解説するため、丸暗記ではなく理解するようにしてください!
丸暗記した内容はすぐ忘れてしまいますが、理解して覚えたことは忘れにくく、また忘れてしまっても自分で導くことが可能です。
1の三乗根の性質①ω3=1
1つ目の性質は、ω3=1です。
ωはx3=1の解の1つのため、当然ω3=1が成立します。
指数法則として、amn=(am)nが成立することから、ω33も、ω99も、(ω3)〇〇と表すことができるため、値としては「1」になります。
ωの「〇〇乗部分」に33や99など大きな数字が載っているときは、〇〇乗部分に乗った数を「3×〇〇」の形に変形しましょう!
また、同じく指数法則からaman=am+nとなるため、ω35も、ω100といった、3で割り切れない数も、以下のように簡単なωで表すことが可能です。
ω35=(ω3)11×ω2=ω2
ω100=(ω3)33×ω=ω
ωの計算をするときには、まずはω2,ω,1の形に変形することを意識しましょう!
1の三乗根の性質②ω2+ω+1=0
2つ目の性質は、ω2+ω+1=0です。
上述した計算の中で、x=1,x2+x+1=0がありましたが、x=ωを入れるとω2+ω+1=0が成立することがわかります。
1の三乗根の性質③ω2=\bar ω
3つ目の性質は、ω2=\bar ωです。
x 3=1
x3-1=0
(x-1)(x2+x+1)=0
よって、x=1,x2+x+1=0
ゆえに、x=1,\frac{-1\pm\sqrt{3}i}{2}
このうち、虚数解がωのためω=\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}とすると以下のようになります。
ω2=(\frac{-1+\sqrt{3}i}{2})2
=\frac{-2-2\sqrt{3}i}{4}
=\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}
=\bar ω
(複素数の上にバー(ー)をつけると、共役な複素数を表すことができるため)
よって、ω2=\bar ωとなります。
1の三乗根の練習問題を解いてみよう!
それでは実際に練習問題を解いてみましょう!
方程式x 3=1の虚数解の1つをωとする時、次の値を求めよ。
練習問題1|ω2+ω+1
練習問題2|ω40+ω38
練習問題3|1+\frac{1}{ω}+\frac{1}{ω2}
この後解説を行いますが、まずは自分で導くことができるか試してみましょう!
練習問題1|ω2+ω+1
問題より、x 3=1
x3-1=0
(x-1)(x2+x+1)=0
よって、x=1,x2+x+1=0
このうち虚数解をωとすると、ω2+ω+1=0が成立する。
よって、ω2+ω+1=0
練習問題2|ω40+ω38
ω40+ω38=(ω3)33×ω+(ω3)12×ω2
ω3=1より、
ω40+ω38=13×ω+112×ω2
=ω+ω2
ω2+ω+1=0より、ω2+ω=-1
よって、
ω40+ω38=-1
練習問題3|1 +1ω+1ω2
分数が含まれた計算をするときには、以下のステップで解くようにしてください。
- ①最も〇〇乗の数が大きい数字に合わせて通分する
- ②分母、分子それぞれでこれまでの性質を用いて計算し、ω2,ω,1の形に変形する
具体的に練習問題を解いてみると、以下のようになります。
1 + 1 ω + 1 ω2 = ω2 + ω + 1 ω2
ω2 + ω + 1 = 0 より、
1 + 1 ω + 1 ω2 = 0
1の三乗根|まとめ
今回の記事では、1の三乗根(オメガ・ω)の解説をしました。
必ず覚えてほしい内容を、以下にまとめます。
- 【1の三乗根(オメガ)で覚えておくこと】
- ①ω3=1
- ②ω2+ω+1=0
- ③ω2=\bar ω
- ④1の三乗根は、1,ω,ω2
計算問題を解くときには、ω3や、ω2+ω+1を作るにはどのような式変形をしたらよいのか?を意識すると良いでしょう。
今回の練習問題だけでなく、必ずより多くの演習をするようにしてください。
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