受験を控える高校3年生の方で、現代文の解き方・読み方が苦手という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
具体的な解き方をイメージしにくい現代文は、多くの受験生が躓いてしまう科目でもあります。
ここでは点数を上げるためのコツを「問題の解き方」「本文の読み方」の両方の面から解説していきます。
すべての現代文に共通するコツや評論文と小説文それぞれのコツも紹介していますので、最後までご覧ください。
長文をたくさん読めば現代文の成績はあがる?
「結局現代文ってたくさん読むしかないんでしょ?」という理由から、家庭や塾の受講を後回しにされる方も多いです。
実際に、長文をたくさん読むことで成績は上がるのでしょうか?
実は、ただ現代文をたくさん読めばいいわけではないんです!
まずは、「たくさん読む」という学習方法のメリットと、欠点についても紹介していきます。
たくさん読むと文章に慣れ、読解力は上がる
現代文の成績を上げたいと考えたとき、まずは多くの文章を読むことに取り組む方も多いでしょう。
実際、読書量が増えることで語彙や文構造、論理の流れに自然と慣れていくため、ある程度までは読解力が高まる傾向があります。
特別な対策をしていなくても現代文が得意な人の多くは、日頃から読書や文章に触れる機会が多いという共通点を持っています。
こうした「慣れ」の積み重ねが、読み進めるスピードや内容理解に影響しているのです。
ただ読むだけの学習法では、成績の伸びに限界がある
一方で、「読む量をこなせば自然に解けるようになる」という考え方には注意が必要です。
たしかに文章への抵抗感は減りますが、受験で求められるのは「本文を正確に読み取り、設問に根拠をもって答える力」です。
このような力は、単なる慣れや読書習慣だけでは身につきません。
特に受験には明確な期限があるため、成果が出るまでに時間がかかる学習法は非効率になりがちです。
「どう読むか」「設問をどう処理するか」といった視点を取り入れた学習が、点数アップのためには欠かせません。
現代文の解き方・読み方のコツは?
一つ前の項目では、ただ読むだけでは不十分だということに触れましたが、ここからは、具体的にどのように解いていくべきかをお伝えします。
成績アップのために重要な内容が詰まっていますので、ひとつずつ確認していきましょう。
現代文の解き方のコツ①:文章の構造を意識しながら読む
現代文が得意な人は、先の展開がどうなるかを予測できています。
これは、長文を読んでいく際に”文章の作りはだいたいどれも同じである”ということを活用できるためです。
「主張がでてきたということは、後ろに理由がでてくるんだろうな」「この表現はわかりにくいから、後の文では具体例が出てくるはずだな」といったことを考えながら読んでいます。
先の展開を予想することで読解のスピードが早くなり、解答に費やす時間を増やすことができます。
文章を読む際は先の展開を予測しながら、構造を意識しながら読むようにしましょう。
現代文の解き方のコツ②:各段落の見出しを考えながら読む
評論文であっても小説文であっても、本文全体の流れを把握するために要約することが大切です。
何を伝えたいのか、どんなテーマなのか、を理解することは選択肢の取捨選択に必要になるからです。
たとえば今あなたが読んでいるこの文章ですが、見出しの部分だけをたどってもなんとなく伝えたいことがわかるようになっているはずです。
つまり、各段落の見出しをつなげれば全体の要約になり、本文を理解できたといえるのです。
現代文の解き方のコツ③:指示語や言い換えをチェックしながら読む
指示語は”直前を見る”だけでなく”直前の同じ要素を見る”ことを考えます。
「これ」なら直前の名詞を、「こんな行動」なら直前の行動を、「このような状況」なら直前の状況を見るようにしましょう。
見つけたら、線で結んだり同じ印をつけたりしておきます。
「チャンス」と「絶好の機会」のような別の言葉への言い換えについても指示語のように印をつけながら読むようにしましょう。
現代文の解き方のコツ④:選択肢の”本文と合わない部分”に注目して解く
設問には必ず選択問題が存在します。
選択肢を選ぶ際には正しいものを選ぶことより、”本文と合わない部分を消す”意識で解くのがおすすめです。
合っている選択肢を探そうとすると「なんとなく合っている」という感覚に頼りがちで、感覚は点数の不安定につながります。
本文のこの部分と合わない、と明確に消しながら進めましょう。
評論文の解き方・読み方のコツは?
評論文は”導入・問題提起→意見・理由→具体例→まとめ→次の問題提起→…”といった流れで書かれています。
ここでは、評論文を読むときに使える技術と、それを活用した問題の解き方を解説します。
評論文の解き方のコツ①:問題提起に注目し、部分ごとの話題を押さえる
評論文では主に「筆者の意見」「筆者がどのような思考をしたのか」が多く問われます。
部分ごとの話題を把握できると、筆者の意見や思考を見つけやすくなります。
1つ目の問題提起は”Aについて話します”という目印で、2つ目の問題提起は”Aの話はここまでで、次はBについて話します”という目印にすることが可能です。
これによって探すべき場所を絞ることができ、効率良く問題を解くことができます。
評論文の解き方のコツ②:較対象をはっきりさせる
たとえば水について説明する文があったとき、比較対象にお湯を挙げていたら筆者は液体の温度に注目していることになりますね。
ところが、比較対象が油だったら筆者は液体の性質に注目しているとわかります。
比較対象に注目することで筆者の主張したいテーマを掴みやすくなるため、問題をより解きやすくなります。
小説文の解き方・読み方のコツは?
小説文は”何かが起こる→誰かの感情が動く→行動する→何かが起こる→誰かの感情が動く…”といった流れで書かれています。
ここでは、小説文を読むときに使える技術と、それを活用した解き方を解説します。
小説文の解き方のコツ①:感情表現を”出来事”と”行動”から推測する
小説文では「登場人物の感情」に関する問いが多く扱われます。
感情は”出来事”から生まれて”行動”につながるため、”前にどんな出来事があってそのあとに何をしたか”を読み取ることで、登場人物の感情を読み取れます。
登場人物が悲しんでいるとき”悲しい”と書かれているとは限らず、「悲哀」のような熟語や「花が枯れる」といった周囲への影響など、多様な表現が使われます。
すべて暗記することはできないので、”出来事”と”行動”から探しましょう。
小説文の解き方のコツ②:”登場人物は未来のことを知らない”という前提で読む
小説文では感情だけでなく「感情・行動が起きた理由」もよく問われますが、解くときには”登場人物は未来のことを知らない”という前提を抑えて考えます。
小説文では1本の文章の中で時間が変化しますが、読み手である私たちは一部始終を短時間で知ることができます。
一方、登場人物は自分の未来を知りません。
未来のことが分かっているのは読み手である私たちだけだと考えると、時系列に沿って話を読めるようになり、合わない選択肢を消すことができます。
本文と問題、どっちを先に読むのがおすすめ?
指導者の間でも様々な意見がありますが、どちらの解き方がいいと断言できるものではありません。
それぞれの解き方の特徴を確認しておきましょう。
本文を先に読む解き方の場合
本文を先に読む解き方をする場合、終着点を事前に知っておけることがメリットでもありますが、デメリットになってしまう可能性もあります。
最終的にどういう話になるのかを把握できているおかげで全体をつかみやすくなる一方、問われている部分より後ろの話題が記憶に残ってしまうことで選択肢にひっかかりやすくなるとも言えます。
時系列順に書かれている場合、前半と後半で状況や心情、具体例が変わることも多くありますが、読解が苦手な人は言葉に見覚えのある表現にひっぱられて選んでしまうこともあるでしょう。
本文を先に読む解き方は、読解が得意な人向けの手法となっています。
問題を先に読む解き方の場合
問題を先に読む解き方をする場合、膨大な量の本文の中で注目すべきポイントが見つけやすいことがメリットになります。
「このあたりが大事そう!」という予想をする必要がなくなり、心情に注目するのか段落に注目するのかはっきりわかった状態で読むことになるため、効率よく解くことが可能です。
一方この方法では傍線部が現れるたびに立ち止まって探すことになるため、傍線から離れたところに解答がある問題や、全体を要約する問題に対応しにくくなります。
ですが、このデメリットを差し引いても効率よく探せる効果は大きいといえます。
どちらも試して解きやすいほうを選ぶのがおすすめ
長文読解は取り組む際に個性が現れます。
成績がいい人に絞っても様々な解き方があり、順番通りに本文をすべて読む人、先に問題文を確認する人、もっと言えば選択肢を読まずに解く人すらもいるのです。
ですが、細部の違いはあれど「先に本文を読む」「先に問題文を読む」の2パターンの解き方に分けることができます。
できるだけ早いうちに両方の解き方を試してみることが大切です。
【高3生対象】 現代文の解き方・読み方を解説!解き方のコツについてもご紹介!|まとめ
今回はすぐに活用できる現代文の解き方・読み方を紹介してきました。
長文を読むときに何を意識すれば役に立つ学習になるのか、具体的なものが少し見えてきたのではないでしょうか。
現代文は正しく学習を進めれば必ず全員ができるようになる教科でもあり、得点源につながります。
みなさんもこれを読んで得られたことを参考に、さっそく今から学習を始めてみましょう!