この記事を読んでいる方で、「古文の単語や文法は覚えたけど、長文になると読めない」「古文の長文読解が苦手」「古文の勉強方法がわからない」という方もいるのではないでしょうか?
そこでこの記事では、古文の勉強で大事な「品詞分解」について重要性を説明した後、「品詞分解」のやり方を解説しました。
記事の後半では、単語・文法を覚えて文章を読み始めたものの、文章の内容が理解できない人向けの勉強法である「古文の苦手克服勉強法」を紹介したため、古文が苦手な方はもちろん、古文の勉強方法がわからない方も是非読んでください!
古文において品詞分解はなぜ重要なの?
まず、古文の「品詞分解」とは古文の文章を1文ずつ品詞ごとに分解し、品詞・活用・活用形・意味などを考えることです。
古文の品詞は以下の10個に分けられます。
- 動詞
- 形容詞
- 形容動詞
- 名詞(体言)
- 副詞
- 連体詞
- 接続詞
- 感動詞
- 助動詞
- 助詞
古文は現在使われている現代語と同じ日本語のため、・品詞の種類が現代語と同一・語順がほぼ変わらないという特徴があります。
そのため品詞分解を行い、単語の意味が解れば文章の意味も当然理解することが可能になります。
つまり古文読解のためには、品詞分解ができるようにすることが最も重要と言っても過言ではないでしょう!
【古文】品詞分解のやり方
それでは実際に古文の品詞分解のやり方について、4つのステップに分けて解説していきます。
- ①品詞ごとに分解
- ②品詞名を書く
- ③品詞の文法説明を書く
- ④訳を書く
今回は具体的に解説する文章として、現在話題の「源氏物語」から以下の1文を引用しました。
いづれの御時にか、女御、更衣あまた候ひ給ひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり。
①品詞ごとに分解
ステップの1つ目は、品詞ごとに分解することです。
前述した10個の品詞ごとに「/(スラッシュ)」を引いて分けると、例文は以下のようになります。
いづれ/の/御時/に/か/、女御/、更衣/あまた/候ひ/給ひ/ける/中/に/、いと/やむごとなき/際/に/は/あら/ぬ/が/、すぐれて/時めき/給ふ/あり/けり。
②品詞名を書く
ステップの2つ目は、先程スラッシュを引いた品詞それぞれに品詞を書き加えていきましょう!
変化させた部分は、太字で表現しています。
【いづれの御時にか】
いづれ(代名詞) /の(格助詞) /御時(名詞) /に(助動詞) /か(係助詞) /、
【女御、更衣あまた候ひ給ひける中に】
女御(名詞) /、更衣(名詞) /あまた(副詞) /候ひ(動詞) /給ひ(動詞) /ける(助動詞) /中(名詞) /に(格助詞) /、
【いとやむごとなき際にはあらぬが、】
いと(副詞) /やむごとなき(形容詞) /際(名詞) /に(助動詞) /は(係助詞) /あら(動詞) /ぬ(助動詞) /が(格助詞) /、
【すぐれて時めき給ふありけり。】
すぐれて(副詞) /時めき(動詞) /給ふ(動詞) /あり(動詞) /けり(助動詞)。
③品詞の文法説明を書く
ステップの3つ目では、品詞の文法説明を書いていきます。
具体的には、動詞・助動詞・形容詞の活用と原形を書いていきます。
【いづれの御時にか】
いづれ(代名詞) /の(格助詞) /御時(名詞) /に(断定の助動詞「なり」の連用形) /か(係助詞)/、
【女御、更衣あまた候ひ給ひける中に】
女御(名詞) /、更衣(名詞) /あまた(副詞) /候ひ(ハ行四段活用の動詞「候ふ」の連用形) /給ひ(ハ行四段活用の動詞「給ふ」の連用形) /ける(過去の助動詞「けり」の連体形) /中(名詞) /に(格助詞) /、
【いとやむごとなき際にはあらぬが、】
いと(副詞)/やむごとなき(ク活用の形容詞「やむごとなし」の連体形) /際(名詞) /に(断定の助動詞「なり」の連用形) /は(係助詞) /あら(ラ行変格活用の動詞「あり」の未然形) /ぬ(打消の助動詞「ず」の連体形) /が(格助詞) /、
【すぐれて時めき給ふありけり。】
すぐれて(副詞) /時めき(カ行四段活用の動詞「時めき」の連用形) /給ふ(ハ行四段活用の動詞「給ふ」の連体形) /あり(ラ行変格活用の動詞「あり」の連用形) /けり(過去の助動詞「けり」の終止形)。
④訳を書く
最後のステップでは、訳を書いていきます。
今回は解説のために文章が多くなってしまっているので、ここまで解説した部分を適宜削除しながら訳だけを書いています。
【いづれの御時にか】
いづれ /の /御時→どの帝の御代 /に /か、
【女御、更衣あまた候ひ給ひける中に】
女御 /、更衣 /あまた→たくさん /候ひ→「候ふ」:お側にお仕えする(謙譲語) /給ひ→「給う」:尊敬の補助動詞 /ける /中 /に /、
【いとやむごとなき際にはあらぬが、】
いと /やむごとなき→重く見られている /際→身分 /に /は /あら /ぬ /が /、
【すぐれて時めき給ふありけり。】
すぐれて /時めき→寵愛を受ける /給ふ→尊敬の補助動詞 /あり /けり。
これら4つのステップを踏み、また文章を上から読むことで以下のように訳すことが可能です。
どの帝の御代であったか、女御や、更衣が大勢お仕え申し上げなさっていた中に、それほど重んじられる身分の家柄ではない女性で、格別に(帝の)ご寵愛を受けていらっしゃる方があった。
品詞分解を行うことで、古文の文章を読むことができる方法がわかったのではないでしょうか?
解説を読むだけでは身につかないため、必ず自分の持っている参考書などを用いて自分の手を動かして品詞分解の練習をするようにしてください!
古文の苦手克服勉強法
さて、古文の品詞分解のやり方がわかっても、実際に文章全体の流れがわからないと読解問題で得点することはできません。
そこでここでは、単語・文法を覚えて文章を読み始めたが、文章の内容が理解できない人向けの勉強法である「古文の苦手克服勉強法」を紹介します!
古文が苦手な方の原因として多いのが、どんなストーリーかわからないこと・主語や客体が省略されていることのため、これらに着目しながら説明していきます。
動画で見たい方は、以下のYouTubeでご覧ください。
古文の苦手克服勉強法①前書きをちゃんと押さえる
古文の苦手克服勉強法の1つ目は、前書きをちゃんと押さえることです。
前書きは模試や共通テストにもついており、登場人物・今どういう場面なのか・最近どんなできごとがあったかなどが説明されている部分です。
武田塾の髙田先生は、前書きは急に本文を読み始めるのは大変なためサービスとしてついており『前書きは宝』と言っています。
前書きに書かれている前提知識をインプットし、必要に応じて図を描くなどで前書きの内容を押さえると良いでしょう!
古文の苦手克服勉強法②人間関係図を描く
古文の苦手克服勉強法の2つ目は、人間関係図を描くことです。
先ほど前書きを読んで書いた図に、その後本文を読んでいて追加された登場人物やその関係性を図に描き足していきましょう!
主語がわからない文章がある際に、関係図を見ながら考えることで主語がわかることがあります。
古文の文章を読む際には主語が省略されることがあるため、1個ずつ主語を特定しながら文章を読んでいく癖をつけるようにしましょう。
古文の苦手克服勉強法③文章を読んであらすじを言う練習
古文の苦手克服勉強法の3つ目は、文章を読んであらすじを言う練習をすることです。
古文ではわからない単語が多いため全訳する必要はなく、文章の構成を3分割くらいにして訳せないところがあっても気にせず、ストーリーを掴むことに注力し、「細かい単語・文法は無視してあらすじを説明できるようにする」ことが大切です。
練習方法としては、参考書の文章を1段落ずつ読んで、現代語で話すのが良いでしょう。
また、自分で勉強していて不安な方は学校の先生や塾講師など、質問できる人に一度自分のあらすじを確認してもらうと安心です。
ここまで紹介した3つの方法を実践することで、古文に苦手意識を持っている方でも文章全体の流れを理解できるようになり、古文を得点源にすることが可能になります!
まとめ
今回は古文の勉強で重要な「品詞分解のやり方」について、重要性から実際のやり方について、文章を読んでいて理解が追いつかない方に向けた勉強方法である「古文の苦手克服勉強法」についても説明しました。
どちらも最初から完璧にできる方はいないため、まずは記事で紹介したことを参考に練習し、徐々に慣れていくようにしてください!
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