定期テストや参考書の長文読解などで、分詞構文なのに主語が残ったままの1文に出会ったことはありませんか?
分詞構文を作る際は、「副詞節の主語と主節の主語が同じ場合、副詞節の主語を削除する」という作業が挟まるため、通常の分詞構文であれば分詞の前に主語は残りません。
しかし、副詞節の主語と主節の主語が異なる場合はどうなるでしょうか?
その場合は、もちろんどちらの主語も残しておく必要があり、副詞節の主語は分詞の前に残ったままになります。
このように、分詞の意味上の主語が主節の主語と一致していないものを「独立分詞構文」と呼びます。
本記事では、独立分詞構文の作り方から試験頻出の慣用表現まで例文を交えて解説していきますので、周りと差をつけたい方はぜひ最後までご覧ください。
独立分詞構文の作り方
独立分詞構文は、通常の分詞構文とほぼ同じやり方で作ることができます。
次の例文を使って実際に独立分詞構文を作ってみましょう。
「彼の話が長すぎるので、私たちはそれにうんざりしてきている。」
まずは副詞節の接続詞becauseを削除します。
→He talks too long, we’re getting tired of it.
次に副詞節の主語と主節の主語を見比べてみましょう。
同じであれば副詞節の方の主語を削除しますが、今回はそれぞれ異なっているため残しておきます。
最後に副詞節の動詞を分詞の形にして完成です。
→He talking too long, we’re getting tired of it.
独立分詞構文の特徴
続いて、独立分詞構文の特徴について考えてみましょう。
独立分詞構文は主に次のような3つの特徴を持っています。
独立分詞構文の特徴①意味上の主語が残っている
まず1つは、分詞構文とは異なって分詞の意味上の主語が残っているという点です。
独立分詞構文の「独立」は、分詞構文の部分が主節の主語とは異なる意味上の主語を持っていることで、意味的に主節から独立した部分を構成しているということを表しています。
独立分詞構文の特徴②文語的でフォーマルな表現になる
次に、独立分詞構文を用いた文は接続詞を用いた文よりも文語的な響きを持ち、よりフォーマルな表現になるという点についてです。
そのため口語で用いられることは慣用表現を除いて多くありませんが、ライティングなどで上手く使いこなすことができれば一層引き締まった文章を書くことができます。
「男は無罪を主張していたものの、判事は彼に有罪を宣告した。」
この例文のように、堅い内容を独立分詞構文を用いて書いてみるのも良い勉強になるかもしれません。
独立分詞構文の特徴③接続詞の意味をぼかす
独立分詞構文は、接続詞の意味をぼかしながら2つの文を繋げることができます。
また、これは独立分詞構文に限ったことではなく、通常の分詞構文についても同じことが言えます。
この例文を見たとき、あなたならどのように訳しますか?
接続詞becauseが削除されている文だと考えて「星が綺麗なので、私は外に出る」と訳す人もいれば、主節の時制が現在形であることに着目して「星が綺麗なとき(はいつも)私は外に出る」と訳す人もいるかもしれません。
ですがこの場合は両者のいずれかが正確だということはなく、それぞれきちんと意味が通っているならどちらで解釈してもよい文です。
そもそも「きっちりと接続詞の意味を確定させたい!」というときには、いつも通り接続詞を用いた文が使われます。
そのため、このように接続詞の意味を曖昧にして2つの文を繋げるというのが分詞構文の本質なのかもしれません。
独立分詞構文の訳し方
ここからは独立分詞構文の代表的な訳し方について確認していきます。
しかし、先述の通り独立分詞構文は曖昧な訳になる場合がかなり多いため、基本的には「その場に応じて適切に訳す」ということを念頭に置いておきましょう。
付帯状況を表す独立分詞構文「~して、…する」「~しながら…する」
独立分詞構文を見たら、まずはこの「付帯状況」の訳を当てはめるのが鉄則です。
「~して、…する」は2つの状況が連続して起こる様子、「~しながら…する」は2つの状況が同時に起こる様子を表します。
分詞の意味上の主語が残ったままの独立分詞構文では、後者の付帯状況を表すような文は少ないかもしれません。
「彼女が私の前を歩いて、彼は私たちに続く。」
時を表す独立分詞構文「~するとき、…する」
こちらは、元の文から接続詞when・while・asが削除されたと解釈できるときの訳し方です。
「私が話しかけようとしたとき、そのスタッフは居眠りしていた。」
→The staff took a nap when I tried to talk to him.
原因・理由を表す独立分詞構文「~だから…する」
接続詞becauseが省略されている場合は、「~だから…する」と訳します。
「先生がとても熱心だったので、私たちもやる気が出た。」
→Because the teacher was very keen, we felt motivated.
条件を表す独立分詞構文「もし~すれば…する」
接続詞ifが削除されている場合も同様に、その接続詞があるときと同じように訳しましょう。
「もし今日彼が来てくれるなら、私は凄く嬉しい。」
→If he comes here today, l’m very happy.
譲歩を表す独立分詞構文「~だけれども…する」
最後は接続詞butやalthoughが省略されている場合の訳し方です。
多くの参考書では譲歩と記載されていますが、逆説と捉えてもそう変わりはありません。
「少女は成長して大人になっていたが、私は彼女が誰だか分かった。」
→Although the girl grew up, I found who she is.
独立分詞構文の慣用表現
ここからは1歩進んだ応用編ということで、独立分詞構文を用いた慣用表現を確認していきます。
通常の分詞構文を使ったものもありますが、もののついでに覚えてしまいましょう。
All things considered「全て考慮すると」
こちらは文頭に副詞のかたまりのように付けて用いられることの多い表現です。
口語でも用いられることがある表現なので、リスニングでこの表現が出てくることもあります。
「全て考慮すると、私は後者の方が好ましいと思う。」
ちなみに、この例文で用いられているthe latter「後者」という表現は、the former「前者」とセットで覚えておきましょう。
Generally speaking「一般的に言って」
Generally speakingも文頭で副詞のかたまりとして用いられることが多く、「一般的に言って」と訳します。
「一般的に言って、青は人を落ち着かせる色だ。」
また、副詞+speakingという表現はこれ以外にも多くあるのでそちらも押さえておきましょう。
strictly speaking「厳密に言うと」
Given (that) ~「~と仮定すると」
英文和訳の問題で出題されがちな慣用表現としてお馴染みなのが、このgiven ~という表現です。
シンプルな表現である分、文頭にgivenがあるときは注意して文をよく読みましょう。
直訳すると、「仮に~という状況が与えられたとすると」となります。
「彼女が殺人犯ではないと仮定すると、誰が真犯人なのだろうか。」
Granted (that) ~「~だとしても」
こちらもgiven ~に続いて注意すべき表現です。
接続詞althoughが省略された形であり、譲歩の意味合いを示します。
「仮に君が正しいとしても、君に従うつもりはない。」
Judging from ~「~から判断すると」
副詞的に文頭で用いられることが多く、Judging from the situation「状況から判断すると」のように使われます。
「状況から判断すると、真犯人はあなただ。」
独立分詞構文の作り方から慣用表現まで徹底解説|まとめ
独立分詞構文は分詞の意味上の主語が残った表現であり、その作り方は通常の分詞構文とほぼ同じです。
また、訳し方は大きく分けて付帯状況・時・原因、または理由・条件・譲歩の5つがありますが、分詞構文は付帯状況を表すものとして用いられることが多いです。
慣用表現は文頭で副詞のように使われるものが多いほか、 「given〜」や「granted〜」などひと目で分詞構文であると見抜きにくいものもあります。
テストや入試で高得点を目指すためにも、日頃から英作文等で積極的に使って分詞構文に慣れ親しんでおきましょう。