減点方式で採点される英文和訳は、満点を取るのが非常に難しく、大学受験対策で英語を学習するにあたって非常に厄介と言われています。
それでは、英文和訳で高得点を取るためにはどんな勉強法が効果的なのでしょうか?
この記事では、英文和訳の勉強法のコツやおすすめの参考書をご紹介します。
英文和訳の採点基準も解説しているので、参考にしてください。
そもそも何から始めるべき?英文和訳の勉強法
英文和訳の勉強法でもっとも効果的なのは、一冊の英文和訳の問題集をひたすら周回することです。
何から始めるべきか悩んでいる人は、ひとまず英文和訳の問題集を一冊用意し、何回も繰り返して英文和訳の感覚を体で覚えていきましょう。
問題が難しく感じる時は、参考書や答えを見ながらでもいいので必ず一周以上してください。
まずは一冊目を最後までしっかり終わらせ、全ての問題を自力で解説できるようになったら二冊目の参考書を始めるのがおすすめです。
英文和訳を勉強する際の注意事項
ここまで英文和訳の勉強法のコツを解説してきましたが、一つ注意事項があります。
それは、英文和訳の勉強を始める前に基本的な単語と文法の知識を身につけておくことです。
単語、文法がしっかり身についていないと、英文和訳の問題は全く歯が立ちません。
そもそも単語を覚えきれていない、文法がよく分からないといった問題がある場合は、まずはそちらの勉強法を見直しましょう。
英文和訳の採点基準を紹介
英文和訳の採点基準を大まかに把握しておくと、どのように練習していくかの方向性がつかみやすくなります。
例えば、2025年東進模試の第1回京大本番レベル模試では、以下のような採点基準が公表されました。
2025年東進模試の第1回京大本番レベル模試の採点基準
- 単語の誤訳や文脈上不自然な訳は、1つにつきマイナス1点を原則とする。但し、意味・構文上大きな誤りはマイナス2点とする。訳漏れの場合は単語の種類によって次を原則とする。即ち、修飾語は欠如しても意味・構文に影響が少ない場合、マイナス1点。内容語と機能語は欠如すると意味・構文に影響するので、原則マイナス2点とする。
- イディオム・文法・語法・構文の知識不足による誤訳は、単語の誤訳に倣う。文脈の把握ミスによる致命的な誤訳は、1つにつきマイナス3点を原則とする。但し、与えられた配点を超えた減点はしない。
参考:Toshin.com「京大本番レベル模試 英語 採点基準」
採点基準に明確な決まりはない
しかし先ほど紹介した東進模試の採点基準はあくまでも一例で、受ける試験によって基準は異なります。
そのため、まずは多くの問題で「これができていれば大きく減点されない」ポイントを意識して勉強法に取り入れていくと良いでしょう。
そのポイントとは、問題製作者が問題の中心に据えている構文を読み取ることです。
東進模試の基準にもあるように、必要な構文をきちんと読み取って和訳できていれば、多少の抜けがあっても大きな減点にはつながりません。
逆に構文を把握できておらず、文脈が通らない和訳は大きな原点対象となります。
減点されない6つのコツ!英文和訳の勉強法
英文和訳を解く時は、まず英文の構文を分析した後に、直訳を意識しながら和訳することが大きなポイントで、出来上がった英文は第三者のチェックを受けるとよりブラッシュアップできます。
どうしてもうまく和訳できない場合は、単語の意味をもう一度調べ直してみると良いでしょう。
ここからは、英文和訳の勉強法を大きく6つのコツに分けて詳しくご紹介していくので、試験本番で減点されないための参考にしてみてください。
英文和訳のコツ①:構文分析をしっかり行う
英文和訳の勉強法に必ず取り入れたいのは、構文(SVOC)分析です。
問題製作者には「この構文は絶対に読み取って欲しい」という意図があり、それを汲み取れているかが採点に大きく影響します。
そのため、構文があやふやのまま訳してしまうと減点されやすくなってしまうのです。
具体的な勉強法としては、まず英文の区切り(関係代名詞や接続詞など)を意識して斜線を引いたり、SVOCを書き込んだりして英文を細かく分析してみましょう。
特に動詞に対応している主語は何なのか、itなど代名詞が何を指しているのかを明らかにしておくことで和訳がしやすくなります。
英文和訳のコツ②:まずは直訳してから自然な日本語に直す
構文分析が終わったら実際に和訳をしていきますが、ここで意識すべきはとにかく直訳にこだわることです。
いきなり自然な日本語にしようとすると構文が崩れ減点の対象となるため、まずは直訳し、そこから自然な日本語に直していってください。
以下の例文を使ってやってみましょう。
例文
Spices have long played an important part in cooking all over the world.
直訳では「香辛料はすべての世界の料理の中で一つの重要な役割を長く果たしてきた」となり少し不自然です。
これを自然な日本語に修正すると、「香辛料は世界中の料理において長い間重要な役割を果たしてきた」のようになります。
このように英文の構成を捉えつつ、直訳から自然な日本語に修正していくという勉強法を確立していきましょう。
英文和訳のコツ③:第三者のチェックを受ける
英文和訳の勉強法で特に大切なのが、作成した日本語訳を第三者にチェックしてもらうことです。
英文和訳では、模範解答通りに回答するのはなかなか難しくなっています。
そのため、どの程度模範解答に沿っていたら丸になるのか、自分では判断しづらいですよね。
そこで問題を解いて作成した日本語文を、塾や学校の先生、英語が得意な友達などに添削してもらいましょう。
作成した和訳が日本語として不自然ではないか、第三者の目を通して確認することで、伝わりやすい和訳を作成する練習になります。
英文和訳のコツ④:意味が複数ある単語に注意する
①~③の勉強法を実践しても行き詰ってしまった時は、単語の意味を一つか二つしか知らないことが原因かもしれません。
英単語帳を使っていると、赤字になっている意味(赤シートで隠せる部分)しか覚えられていない場合もあります。
しかし大学受験の英文和訳では、普段は使わないような細かい意味で単語が使われていることが多いです。
そのため英単語の意味を覚える際は、メインの意味以外の細かい意味を暗記しておくようにしましょう。
英文和訳のコツ⑤:カタカナ英語に注意する
知っている単語なのに和訳すると意味が通らない場合は、カタカナ英語に惑わされている可能性もあります。
「パソコン」や「ウィルス」などカタカナ英語は日本で日常的に使用されていますが、本来の英単語の意味とはズレて使用されていることが多くあるのです。
そのため英文和訳でカタカナ英語の意味を使ってしまうと不自然になってしまいます。
どうしても不自然になってしまうときは、辞書などを使って正しい意味を調べるようにしましょう。
「変だな?」と思ったら辞書を引く習慣を身につけるのも、大切な英文和訳勉強法のコツです。
英文和訳のコツ⑥:意訳はNG
英文和訳の勉強法として、洋画の日本語字幕を真似する方法をとる人がいますが、これは基本的にNGです。
洋画の字幕はいわゆる意訳と呼ばれ、かっこよく簡潔に訳されているのでお手本にしたくなります。
しかし受験問題の英文和訳で求められる構文の把握が意図的に省かれているので、採点側は丸をつけることができません。
意訳は、構文の正確な理解や単語力を測る受験英文和訳とは求められているものが全く違うのです。
リスニングやスピーキングの勉強法として洋画を利用するのは効果的ですが、意訳を英文和訳の参考にするのは避けるようにしましょう。
英文和訳の参考書おすすめ3選
英文和訳対策で使用するのにおすすめの参考書を3冊ご紹介します。
- 入門英文問題精講 4訂版
- 関正生の英文解釈ポラリス2 発展レベル
- 英文和訳演習シリーズ
これらの参考書は、英文和訳対策に重要な構文分析の勉強法がしっかりと解説されているので英文和訳の勉強に非常におすすめです。
目指したい学校のレベルによって、3冊のうちどれを使うと良いかが変わるので、ここから詳しく解説していきます。
英文和訳おすすめ参考書①:入門英文問題精講 4訂版
教材名 | 入門問題精講シリーズ 入門英文問題精講 4訂版 |
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出版社 | 旺文社 |
作者 | 竹岡広信 |
分量 | 176ページ |
レベル | 日東駒専レベル |
価格(税込) | 1,320円 |
入門問題精講シリーズは、幅広いレベルから取り組める人気の参考書シリーズで、その中でも「入門英文問題精講」は英文解釈を基礎から勉強できる参考書となっています。
英文和訳で重要な文構造についてが分かりやすく解説されているので、英文和訳対策を始めたばかりで勉強法が確立しきっていない方におすすめです。
問題は72題収録されており、短い英文を実際に和訳しながら構文の理解や和訳の仕方を実戦的に学習できます。
専用のアプリをダウンロードすれば、作者の竹岡広信先生による解説音声を聞くことができるのもおすすめポイントです。
英文和訳おすすめ参考書②:関正生の英文解釈ポラリス2
教材名 | 関正生の英文解釈ポラリス2 |
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出版社 | KADOKAWA |
作者 | 関正生 |
分量 | 272ページ |
レベル | 早慶・旧帝(最難関大学) |
価格(税込) | 1,540円 |
「関正生の英文解釈ポラリス2」は、今回ご紹介する参考書の中で一番難易度の高い参考書です。
難関大受験で頻出でありながらなじみの薄いテーマをしっかりと網羅しつつ、最新の英文を使ってビジュアル的に分かりやすく文構造を解説してくれます。
基本的な構文解釈の理解がある程度できている人が、より応用的な英文和訳の練習をしたいときにおすすめです。
またこの参考書には、前作としてMARCH・国公立大レベルを扱う「関正生の英文解釈ポラリス1」が出版されています。
おすすめの勉強法としては、「ポラリス1」で基礎を固め、「ポラリス2」で応用力を付けるという使い方がよいでしょう。
英文和訳おすすめ参考書③:英文和訳演習シリーズ
教材名 | 英文和訳演習シリーズ(入門編、基礎編、中級編、上級編) |
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出版社 | 駿台文庫 |
作者 | 伊藤和夫 |
分量 | 各レベル 100ページ前後 |
レベル | 基礎~京大レベル |
価格(税込) | 入門編、基礎編、中級編:770円、上級編:935円 |
英文和訳演習シリーズは、入門から上級までの4レベルに別れた英文和訳特化の参考書です。
一冊の分量がそこまで多くないため、周回学習に向いており、習熟度別にレベルアップしていくこともできます。
英文和訳シリーズの魅力は、減点されないための英文和訳の勉強法を詳細に解説している点です。
模範解答だけでなく採点基準も載っており、減点されにくい英文和訳を自主学習しやすい教材となっています。
ただし、英文解釈に必要な基礎知識がある状態で取り組むことが前提の参考書となっているので、文法等に不安がある場合はそちらを先に学習しておきましょう。
英文和訳の勉強方法は?おすすめの参考書についてもご紹介!|まとめ
英文和訳の勉強法について、コツやおすすめの参考書、採点基準の考え方を解説しました。
英文和訳を勉強する上で必要なのは、基礎的な知識がきちんと身についていること、出題者が求めている構文を正確に読み取る力を身につけることです。
参考書はシリーズ発売されているものが多いので、自分のレベルに合わせた参考書を用意し、何度も周回することで理解を深めていきましょう。
今回ご紹介した英文和訳のコツを、ぜひ普段の勉強法に取り入れてみてください。