英語の長文読解は英検や受験に必ず出題されますが、その中でも、要約問題は多くの方が苦手としているのではないでしょうか。
文法や単語のように明確な勉強法が見つかりにくい、などの悩みから要約問題の対策をつい避けてしまいがちです。
しかし、要約問題が解けるようになると情報整理能力がついて問題を解くスピードが速くなったり、英語の全体的な学力向上に繋がったりするメリットがあります。
今回は、苦手な方でもできる要約する時のコツと手順を説明します。
要約の勉強をする時に役立つサイトも紹介しているので、ぜひ活用してみてください。
英語の要約問題を解く上で意識するコツ
要約は文章の要点を自分の言葉で簡潔にまとめることを言い、抜き出すことではありません。
要約するためには、文章が何を述べているのかを把握して自分の言葉で言い換えることが必要です。
文章を上から読んでいくだけでは難しいので、スムーズに要約できるようになるためのコツを3つ紹介します。
冒頭と末尾から筆者の主張を読み取る
英語の要約をする上で一番意識するべきことは著者の主張です。
主張を気にせずに、ただ簡潔に文章をまとめても中身がない要約になってしまうことが多く、得点に繋がりません。
著者が文章を通して何が言いたいのかを明確にすることが大事なポイントになります。
英文の場合、主張は文章の冒頭と末尾に書かれていることがほとんどなので、冒頭に書かれているテーマと末尾に書かれている結論を読んで、著者の主張を見つけましょう。
具体的な数字や固有名詞は使わない
要約をする時に、文章中に出てくる具体的な割合や固有名詞、具体例は以下のようにまとめてみましょう。
- 「馬やキリン、ゾウは~」→動物は~
- 「机やいすだけでなく」→家具だけでなく
- 「○○年は30%であったが、△△年は50%であった」→「□□年間で増加した」
- 「彼はスポーツ、例えば、水泳やサッカーの試合に足を運ぶ」→「彼はスポーツの試合に足を運ぶ」※具体例は文頭や文中によく用いられています。
抽象的な表現にすることで、不必要な言葉が省かれるだけでなく、自分の言葉で言い換えることにもなるので、一石二鳥です。
接続詞に注目する
言葉や文を繋ぐ「接続詞」を目印にすることで、文章にメリハリがついて話の展開を掴みやすくなります。
But(しかし)やAnd(そして)など接続詞を見つけたら、印をつけておきましょう。
特に、要点を見失いやすい長文の時におすすめです。
英語で使われる接続詞には、言い換えられたり、2文を1文にできるものがあります。
要約でうまくまとまらない時は接続詞を活用するとスッキリした文章が作れるでしょう。
英語の要約をする時の手順
文章は、一文ずつ丁寧に読む必要はありません。
要約はまとめることがメインなため、主張・主張の理由・結論を抑えることで、文章を全て訳さずに要約をすることができます。
以下の手順に沿って読み進めていきましょう。
- タイトルと全体の文章にさっと目を通す
- 段落ごとに大事だと思う文章に線を引きながら読む
- 線を引いた文章を軽く和訳する
- ②と③の工程を段落ごとに繰り返す
- 和訳した文章を自分の言葉でまとめる
- 一文ずつ英文に直す→要約完成
実際の要約問題を使って説明します。
以下の英文を約45語で要約してみましょう。
When people decide to visit museums, some pay an entrance fee, and others visit on free days. There are other choices, too. These days, many suggest that all museums should be free to everyone. What are the reasons for this?
Some believe that free museums make art and history accessible to more people, especially those who might not afford regular prices. Others say that free entry encourages more frequent visits and increases the appreciation for culture and education in the community. This can help everyone learn more about different cultures and histories.
On the other hand, some argue that museums need the money from tickets to operate well. This can be crucial for maintaining the exhibits and paying for staff. Some museums might struggle without this income. As a result, they might have to reduce their services or quality of exhibits, which could decrease the overall experience for visitors.
<マーキング文>
When people decide to visit museums, some pay an entrance fee, and others visit on free days. There are other choices, too. These days, many suggest that all museums should be free to everyone. What are the reasons for this?
Some believe that free museums make art and history accessible to more people, especially those who might not afford regular prices. Others say that free entry encourages more frequent visits and increases the appreciation for culture and education in the community. This can help everyone learn more about different cultures and histories.
On the other hand, some argue that museums need the money from tickets to operate well. This can be crucial for maintaining the exhibits and paying for staff. Some museums might struggle without this income. As a result, they might have to reduce their services or quality of exhibits, which could decrease the overall experience for visitors.
1 タイトルと全体の文章にさっと目を通す
まず、この文章にタイトルはないため、全体の文章に目を通します。この時、何度も出てくる単語や接続詞がないか確認しましょう。
冒頭にmuseumsとあり、その後も同じ単語が出ていることから今回のテーマはMuseum(博物館)であるとわかります。
また、3段落目にOn the other hand(一方で)という接続語があるため、展開が変わっていると把握できます。
最後にAs a result(結果として)という副詞があるため、文章がまとめに入っていると判断できます。(本文黄色線参照)
2 段落ごとに大事だと思う文章に線を引きながら読む
1段落目の大事だと思う文章に線を引きましょう。冒頭には、文章の主張が来ます。
1行目にsuggest(提案する)とあるため、本文の主張であると推測できます。
また、問いはこの後の流れを展開していく一つのカギです。疑問詞から始まる文章には注意しましょう。(1段落下線部参照)
3 線を引いた文章を軽く和訳する
1段落目に線を引いた文章を和訳すると以下のようになります。
These days, many suggest that all museums should be free to everyone.
(この頃、多くの人々は全ての博物館が来場者に対して無料にするべきだと主張している)
What are the reasons for this?
(これはなぜだろうか?)
この2文を軽くメモする場合、「博物館 来場者に無料 なぜ?」くらいが適切でしょう。
4 ②と③の工程を段落ごとに繰り返す
②と③の工程を2段落目と3段落目にも行います。
2段落の場合、1段落の問いに対する理由を述べています。そのため、理由となる部分に線を引き、和訳しましょう。
・2段落のメモ:「無料博物館→より多くの人が文化を学べる」
3段落の場合、接続詞から本文の主張に反対する意見が述べられていると分かります。
・3段落のメモ:「博物館→お金の捻出 スタッフの収入、維持費」
5 和訳した文章を自分の言葉でまとめる
1〜3段落のメモを参考にして日本語で要約していきましょう。
多くの人々は博物館を無料にすることを提案している。これは、より多くの人が文化に近づきやすく、学べるからだ。しかし、博物館はスタッフの収入や館内の維持費のためにお金が必要になり、奮闘するだろう。
本文を抜き出さずに自分の言葉でまとめるのが大切です。
6 一文ずつ英文に直す
⑤で作った文章を英文に直していきましょう。
この時、本文中の言葉から言い換えて表現します。
Many people support that museum change to be free. This is because more people are able to learn culture by closing to it. However, museum need money such as income of staff and cost of maintaining. Finally, museum may struggle financially. (41語)
意識するポイントや手順を踏んで要約が完成しました。
要約は、読み方から工夫する必要があります。
英語の要約に役立つおすすめの勉強法
要約には、英語の以下の要素が含まれています。
- 長文読解
- 英文構造
- 言い換え
- 語彙
これらの要素を対策することで、普段の英語力からも要約問題をサポートできるようになります。
ここからは、上記のそれぞれの要素を対策できる、要約に役立つ勉強法を紹介します。
英検のWriting問題を解く【長文読解・言い換え・語彙】
英検のWriting問題を解くことで、長文読解や言い換え、語彙の対策になり、要約問題対策をする上で大きな力になります。問題のテーマを読み取り、テーマに対する主張を自分の言葉で述べるため、文章力や表現力が必要になるからです。
問題自体は短いことが多いですが、1から自分で文章を組み立てなければなりません。
要約をする時の手順を用いながら解いてみましょう。
段落ごとに要約を行う【長文読解・英文構造】
段落ごとに要約を行うことは、長文読解や英文構造の対策になります。
最初から長文を要約するのは、誰もが難しく、今後の勉強のやる気を妨げる原因になりかねません。
まずは、長文の段落ごとに要約を行ってみましょう。段落ごとに要約を行うことで文章のテーマを見つけやすくなり、文章の内容理解にも繋がります。
もし、段落内の文章が長いと感じたら、5文ずつに分けるなどして自分に合った文章量で挑戦しましょう。
言い換え問題を解く【言い換え・語彙】
言い換え問題は、言い換えだけでなく語彙の対策にもなります。
要約はいかに自分の言葉でまとめられるかが大切です。文章内で用いられている表現しか知らない場合、自分の言葉に変えたくても変えられず、抜き出さないといけなくなってしまいます。
接続詞や関係代名詞を使った表現は言い換えを求められるため、学校の文法テキストや過去問の文法の範囲で復習しましょう。
同じ意味を表す熟語を覚える【言い換え・語彙】
同じ意味を表す熟語を覚えることで、言い換えと語彙の対策ができます。
熟語には、違う表現を用いるけれど同じ意味を持つものがあります。単語だけでなく、熟語は知れば知るほど語彙は増えるため、要約で日本語から英訳する時に自分の言葉で表現することに困らなくなります。
熟語のテキストや英単語帳にある単語の参考部分をよく見てみましょう。つい見落としがちですが、単語ごとの関連事項が載っている重要な部分です。語彙を勉強する時には、同じ意味の表現にも注目しましょう。
英語の要約に活用できるおすすめサイト
勉強法で基本を押さえた後は、実際に要約練習ができるサイトも活用しましょう。
実力を測りたい時や要約の形を確認したい時におすすめです。
Summarize This
このサイトは、要約したい文章を貼り付けて、「Summerize」ボタンをクリックするとすぐに自動で要約してくれるサイトです。
このサイトを活用すれば、自分が要約した文章が間違っていないか、専用の答えがなくても確かめられます。
また、完成された要約を見ることで自分で要約する時の特徴やコツを文から把握できます。
答えがないオリジナルの文章にも活用できます。
英語の長文読解の要約のコツと手順まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、要約する時に意識するべきポイントと実際に要約する時の手順を実践形式で説明しました。
要約は、ただ文章を読んで抜き出してまとめるものではなく、文章を読んだ上で自分の言葉で言い換える技術が必要な勉強です。
要約には、他の英語の単元も要素として含まれています。
つまり、要約をマスターすれば、おのずと他の苦手分野も克服できるのです。コツと手順と練習を積めば必ず英語上級者になれます。
要約力を高めることは、英語力と同時に思考力も養います。日々の積み重ねでより理解を深めていきましょう。