今回のテーマは、日本史・世界史が伸びない受験生の特徴4選です。
歴史科目は「暗記で何とかなる」という風に思いがちですが、意外と伸び悩む受験生が多発しています。
歴史科目を極めるのは皆さんが思っているよりも難しく、歴史科目を頑張っていても伸びる兆しがない受験生も意外と多いです。
歴史科目は勉強法をミスしやすい科目の筆頭と言えるでしょう。
定期テスト対策のための勉強や塾での授業で歴史科目を勉強しているはずなのに、「何も覚えていない…」という方も多いのではないでしょうか?
今回は、歴史科目はどのようにすれば模試などで結果が出るのかについてご紹介します。
日本史・世界史の成績が上がらない受験生の特徴①通史を終わらせるのが遅い
全現役生に当てはまりますが、歴史科目では早く通史を終わらせるために学校に頼らないで参考書や独学で学習を進めていくのを基本スタンスとしてください。
この項目では通史を早く終わらせる理由を解説します。
通史を早く終わらせるべき理由①学校の授業は遅く入試に間に合わないため
歴史に関しては、学校の授業を補助だと思ったほうが良いです。
自分でスケジュールを作ってやることを軸にしないと間に合いません。
浪人生にしろ現役生にしろ、予備校で1年かけて通史を終わらせることで1年間で授業を上塗りしようとしていることがありますが、それでは受験勉強が終わりません。
通史を早く終わらせるべき理由②全体像を把握していないと勉強が難しい
通史を早く終わらせるべき理由のもう1つめは、全体像を把握していないと歴史の勉強は難しいことがあります。
例えば日本史の場合、授業で春に原始古代から勉強を始めた場合はおよそ1年後に江戸時代にたどり着くのですが、その頃には春にやった原始古代の内容を忘れてしまっています。
時間をかけすぎてしまうことで初期の内容が全部抜けてやったことがほぼリセットされてしまうのがカリキュラムあるあるです。
歴史科目は暗記物が多いため、全体像を先に把握しておかなければボリュームが見えず「いつまで続くのだろう…」という状態で勉強をしなければなりません。
日本史にしろ世界史にしろ、自分が受ける科目はこのくらいの総量があるということが見えていたほうがモチベーションが沸きます。
アルバイトをしている方は分かると思いますが、アルバイトが終わる時間が決まっていなくて「永遠に働け!」と言われたら「いつまでやらなきゃいけないの…」という感じでモチベーションが沸きませんよね。
「アルバイトは17時まで。集中して頑張ってね」と言われたほうが「よし17時までか」と頑張れるはずです。
歴史科目の全体像を把握していないのはこれと同じで、無限に労働しているようなものです。
そうならないように、先に全体像を把握してゴールを知っておきましょう。
日本史・世界史の成績が上がらない受験生の特徴②いきなり細かい知識まで覚えようとしている
いきなり細かい知識まで覚えようとしている受験生の方もかなり多いです。
これは学校や塾では教科書順に進めるため、基礎から応用までの全知識をとても細かいところまで時代順に教えていく形式となることから起こる現象で、仕方がないといえば仕方がありません。
そちらに合わせていると受験勉強が終わらないため、先述したとおり通史を早く終わらせる必要があります。
自分でスピードアップして早く通史を終わらせるためにはボリュームを絞る必要があり、どういうもので絞るのかが大切になってきます。
いきなり細かい知識まで覚えようとするダメな例
東進や山川の『一問一答』シリーズは歴史の参考書の代表格で、早慶などの世界史・日本史を極めないといけない大学では御用達となっています。
『一問一答』を初手でやる人が多いですが、例えば東進の『日本史一問一答』は星3でも意外と難しい単語があり、共通テストで出ないような単語まで載っていたりします。
MARCHレベルでは絶対に必要な知識ではありますが、『一問一答』には最初からこれを覚える必要は無いというような単語もあるのです。
そのため、『一問一答』で最初から細かいところまで勉強をしようとすると絶対に破綻してしまいます。
そもそも共通テストで受験をしようとしている人にとっては『一問一答』があまり合わないということもありますし、私立向けの人がやるとしても歴史を始めて勉強する人が『一問一答』を最初にやって成功する確率は極めて低いです。
授業を一生懸命聞いていてその内容をよく覚えている人や定期テストが常に高得点で知識を維持しておりその範囲をさらに濃くしていきたい人は初手で『一問一答』を解けますが、多くの人はこの条件に当てはまらないのではないでしょうか?
日本史・世界史の成績が上がらない受験生の特徴③用語の暗記ばかりをしている
一問一答型の勉強法になってしまっている人で『時代と流れで覚える!日本史用語/世界史用語』を使ってもそういう勉強の仕方になってしまう人がたまにいますが、日本史と世界史をがむしゃらに勉強すると用語の知識は増えていきます。
条約・戦争・人物の名前などの知識が増えていきますが、用語知識が増えても「この人物はいつの時代の人で何をしたのか」「この戦争は誰と誰が戦ってその結果どうなったか」などの中身が分からなくなってしまうことがあります。
歴史科目はストーリーが大切
歴史科目は、人物名は覚えたけど誰なのかわからないなど知識だけ知っている状態になりやすい科目です。
歴史は本来人間のドラマの蓄積でありストーリーを古代からずっと追っていくもののため、流れをぶった切って用語だけをつまんだとしても歴史の勉強にはなりえません。
人物名・戦争名・条約名だけを断片的に覚えていても意味がなく、その中身や過程を全て言えることが大切です。
歴史において重要なのは用語ではなくストーリーであり、大学受験で求められるのもストーリーを説明できる力だと理解しておきましょう。
まずはストーリーで言えるようにならないと周辺の知識も入ってきません。
日本史で例えると…
例えば日本史には「荻原重秀」という人がいますが、この人は江戸時代の五代将軍 徳川綱吉に仕えて経済政策をまとめた人です。
インフレ政策をしてしまい、新井白石にその後、非難されました。
このように人の名前を憶えてもいつの時代に何をした人なのかや周りの人間関係はどうだったのかといったことがしっかり分かっていないと、入試問題の選択肢に「荻原重秀」が入っていても選ぶことができません。
結局歴史はストーリーなので、徹底的に把握することが必要です。
歴史をストーリーとして捉えるために必要な参考書
歴史をストーリーとして徹底的に把握するために使えるのが、講義系参考書です。
日本史の場合は『金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本』がとても分かりやすい講義系参考書となっています。
世界史の場合はコンパクトな参考書なら『きめる!共通テスト世界史』でガッツリやる場合は『茂木誠の世界史Bが面白いほどわかる本』を読み込みましょう。
講義系参考書のおすすめの勉強法『白紙勉強法』
これらの講義系参考書のおすすめのやり方として、白紙勉強法を紹介します。
白い紙に「時の権力者」「権力者がやったこと」「メモ・補足」を書くようにしてください。
日本史なら最初は天皇、平安時代は藤原氏、そこから源頼朝・北条氏などに権力は移っていくのですが、その主要な人物とその人がやったこと、当時の出来事などを時系列順に白紙に再現できるようにするとオリジナル年表が完成します。
このとき年号は後からでもいいので、大まかな出来事や時の権力者を書けるようにしておくと知識の幹ができるのです。
これをもとに夏以降枝葉の知識を付け加えていくことで歴史科目は最強になります。
いきなり細かいことを覚えようとするのではなく、基本となる軸やストーリーを把握しましょう。
世界史でおすすめの参考書
世界史でもう一つおすすめの参考書が、『小学生でもわかる世界史』という参考書です。
共産主義・社会主義の国のことを「みんなが平等なパラダイスな国を作りたい」という風に表現するなど、難しい言葉を簡単で分かりやすい表現に変えています。
コアイメージを掴みやすい本となっているため、もし世界史に強い苦手意識を持っている人はぜひ読んでみてください。
世界史のおすすめ勉強法『地図』
日本史の場合は白紙勉強法をするとき時の権力者と権力者がやったことを書く勉強法を紹介しましたが、世界史の場合はこれに加えて地図を描いてこの時代はここにこの国があったというように把握するといいでしょう。
世界史では国が分裂したりまとまったりで国境が変わることがよくあり、特にローマ帝国は西ローマ帝国・東ローマ帝国・神聖ローマ帝国など似た名前の国があったりしてややこしいです。
変遷が分かるようになると世界史が強くなるため、このように軸を作り全体像の理解をしていくのがおすすめです。
日本史にしろ世界史にしろ、全体像を理解して自分が説明できたり紙に書けるようになるのを目的として勉強することが非常に重要であることを覚えておいてください。
通史で出来事の順番や時の権力者の順番も理解しておきましょう。
日本史・世界史の成績が上がらない受験生の特徴④アウトプットを全くしない
武田塾の生徒さんもたまにやることですが、「日本史は暗記科目」「用語を覚えないと」と一生懸命インプットする生徒さんは多いです。
浪人生など受験を既に経験している人は歴史科目は流れが大事ということを知っていますが、現役の受験生は流れが大事だということに自分の力で気づくのは難しいでしょう。
そして、流れの大切さに気づくのはアウトプットの機会であることが多いです。
試しに共通テストの問題や易しめの大学の問題を解くことで、「自分がやっている勉強法では実際の問題は解けない」と気づく瞬間があってストーリー重視の勉強法に切り替わります。
歴史科目の受験勉強では、このように一度失敗をして痛い目を見ることがとても重要です。
『時代と流れで覚える日本史』や『金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本』『茂木誠の世界史Bが面白いほどわかる本』で自分なりに一通り覚えたら、即アウトプットしてください。
定期テストでは知識が断片的でストーリーを言えない人やその場の丸暗記になってしまう人はとても多いです。
早く「この本・この勉強法ではダメで入試に通用しないんだ」という気づくためにもアウトプットを行いましょう。
日大レベルの過去問・センター試験を解くのがおすすめ
2次試験で日本史・世界史があるところであれば「ストーリーを記述せよ」という問題が出る場合もありますし、共通テストでも流れを把握していないと解けない問題などもあります。
「このあたりの知識は似ている時代に出てきたよな…」など選択肢が混在して正誤が切れない経験をすると、その覚え方では通用しないと気づきます。
その経験をするために、日大レベルの過去問もしくはセンター試験を解きましょう。
共通テストは史料が多いため、できればネット上で無料公開されているセンター試験の問題を解くことをお勧めします。
センター試験レベルの問題でも勉強法を間違えてしまうと「頑張ったつもりなのに全然できない」となることが多いです。
理解重視の勉強方法に変えないといけないことに早めに気づくことが大切です。
正しい勉強法を知れば日本史も世界史も好きになれる
余談ですが、正しい勉強法を知れば日本史も世界史も好きになれることが多いです。
「この時代はこんなはちゃめちゃなことで争っていたのか」「だからこういう法律を作っていたのか」などストーリーを理解できれば歴史は楽しく感じられます。
ストーリーなどの一番楽しいところを捨てて英単語のように暗記ばかりしていては楽しくないし覚えられません。
そういった勉強法ではなく、ストーリーを大切にした勉強をしていきましょう。
まとめ
この記事では、日本史・世界史の成績が上がらない受験生の特徴4選を紹介しました。
日本史・世界史の成績が上がらない受験生の特徴には、通史を終わらせるのが遅い・いきなり細かい知識まで覚えようとしている・用語の暗記ばかり・アウトプットをしないことが挙げられます。
歴史科目の勉強法で最も大切なことは、最初に通史をして大まかなストーリーをしっかりと把握してから細かい部分を覚えることです。
正しい勉強法を知っていれば日本史も世界史も好きになれるはずなので、受験勉強で世界史・日本史を使う人はぜひ参考にしてみてください。