
科目 | 物理 |
出版社 | 河合出版 |
目的 | 物理の基礎固め |
対象者 | 物理の基礎固めをしたい人 |
難易度 | あらゆる入試に対応可能な基本問題 |
分量 | 165ページ |
使用期間 | 高3~夏休みいっぱい頃まで |
ジャンル | 物理問題集 |
・オススメポイント
必要最低限の基本問題の解き方が効率よくマスターできる
・注意点
解説が分かりにくければ講義用問題集を併用。
一通り解いた後は演習も積み重ねること
物理の基礎固めにはこの1冊!
『物理のエッセンス(力学・波動)』は、物理の基礎固めに最適な1冊です。同じエッセンスシリーズでもう1冊「熱・電磁気・原子」というものも出ていて、構成や難易度は一緒で扱っている問題の単元が異なります。この2冊のエッセンスシリーズに掲載されている問題を一通り解けるようになると、受験物理に出てくる大半の問題に対応できる基礎が身につくのでおすすめです。
問題集の構成としては、最低限の基礎問題を並べてある小問集という形です。問題量としてはそれほど多くなく標準的で、解説もコンパクトにまとまっています。レイアウトもかなりまとまっていて、扱う物理現象の説明の後にそれに関する問題が載っていたり、類似問題が充実していたりするのでほかの問題を解くときにも応用が利きやすい形で学習が可能です。ただし、人によっては解説が抽象的で分かりにくい場合もあるので注意が必要です。
応用問題に対応できる本質的な基礎力が身につく
物理の問題は基本的に、まず扱う物理現象があり、それに関する公式や定理が登場し、問題によって条件を色々変えた計算を行うといったものが多いです。難しい応用問題の場合は、この最後の「条件」が複雑なものであったり、公式や定理がなぜそうなるのか?といった本質を問うような問題が出たりするため、理解度や演習量が足りないと解けなかったり制限時間をオーバーしてしまったりします。
そこで大事なのが、基礎をきっちりと理解していること。具体的には、扱う物理現象のイメージをつかみ、それを説明するための定理や公式をきっちり覚え、できれば導出までできていると理想的です。物理のエッセンスシリーズは、こうした基礎を身に付けるために必要かつ十分な量の基礎問題が掲載されています。
まず目指すべきステージは、これに掲載されている問題を一通り解けるようになるということ。いきなり公式の本質的なところ(たとえば、慣性力がなぜ発生するのか?など)まで深く理解しようとすると途中で力尽きてしまうので、とにかく「解ける」というレベルを意識して演習するようにしましょう。深い理解はその後でも大丈夫です。
解説を読んでもわからない人は…
ただし、エッセンスシリーズは解説がコンパクトにまとまっているがゆえに「抽象的すぎてわかりづらい」という人も少なくありません。そういう時は、より具体的な例などもまじえて解説されている別の参考書も併用して理解していくようにしましょう。たとえば、『わくわく物理探検隊』や『宇宙一わかりやすい高校物理』、同じ出版社から出ている『物理教室』などは講義系の参考書としておすすめです。
エッセンスの解説で理解しづらいものが出てきたら、こうした講義系の参考書で該当する範囲を参照して不足している知識を補いましょう。具体例や類題にいくつか触れることで、問題でよく聞かれるパターンや計算方法の手順などが身についてきます。また、わからない問題や解けない問題が出てきたときに、解説を読んで「なるほど」と思うだけではなく、実際に手を動かして計算をすることも大切です。分かったつもりになっていると途中で計算が進まなくなったり、単位が答えられなかったりという穴が出てきます。こうした穴が無いか1つ1つチェックして、きちんと正解を導き出せるようになればOKです。
エッセンスの後の演習にはコレ
物理のエッセンスはその名の通り「エッセンス」なので、これだけやればいきなり本番の試験で点が取れるというわけではありません。この教材で身につけた基礎を実際の入試問題を解くためにどう活用するかが大切です。そこで、エッセンスの問題が一通り解けるようになった段階で、別の問題集で演習を積みましょう。過去問をやってもいいですし、問題集としては同じようなレベルでより問題数が多い『リードα』や『リードライトノート』などがおすすめです。
また、演習の段階のポイントとして「いきなり答えを見ない」ということが挙げられます。というのも、すでにエッセンスで最低限の知識は身についているはずなので「知らないから解けない」という問題は少ないはずだからです。そうではなく「今持っている知識の中でどれを使えばよいかがわからない」ことが解けない原因なので、少なくとも5分くらいは粘ってなぜ解けないのかを吟味してみてください。その上で分からなければ解説を読むと、頭の中にある知識をどう使えばいいのかが整理されていくので、初見の問題を解く力が効率よく鍛えられます。
まとめ
物理のエッセンスを一通り解けるようになれば、ほかの入試問題にも応用が利く本質的な基礎力が身につきます。まずは「わかる」というよりも「解ける」というところをゴールに一通り解いてみてください。説明を読んでもわからない問題があれば、講義系の参考書を併用して足りない知識を補いましょう。
また、エッセンスの問題が解けるようになった後は問題演習を積み重ねることが大切です。物理の問題は、「知識」と「その使いどころ」の両方がないと解けません。知識についてはエッセンスで十分身につきますが、それをどういう場面でどう使えば良いかは問題を解いていく中でのみ鍛えられるので、演習問題をたくさん解きましょう。
問題を繰り返し解いていく中で、それぞれの単元でよく出題されるパターンや計算手順に慣れていくと得点が安定してきます。難しい問題も、使う基礎知識がいくつか組み合わさっているだけという場合が多いので、まずは最低限の知識をマスターしてください。必要な情報は『物理のエッセンス』シリーズですべて身につきますので、しっかり解けるようにしていきましょう。