科目 | 英語 |
出版社 | 研究社 |
目的 | 英文読解の強化 |
対象者 | 東大・京大レベルを目指す人 |
難易度 | 東大・京大レベル |
分量 | 236ページ |
使用期間 | 高3夏休み~過去問演習前まで |
ジャンル | 英文読解 講義系参考書 |
・具体的なオススメポイント
ハイレベルな読解力が身に付く
・注意点
早慶レベルの長文が余裕で読める人以外は学習効果が低いのでおすすめしない
東大・京大レベルの英文読解力を仕上げるなら『英文読解の透視図』
『英文読解の透視図』は、東大・京大レベルなど難しい大学入試の英語で高得点を狙いたい人向けの問題集です。早慶レベルの長文なら余裕で読むことができるという人でないと、この教材を解き進めるのは難しいでしょう。
英語で高得点を取りたい人や、英文解釈で不安なところを無くしたいという人のみ取り組むことをお勧めします。また、東大・京大を受験する人でも、英語ではなくほかの科目を得点源にする人にとっては、かならずしも『英文読解の透視図』に取り組む必要はありません。自分の入試戦略に合わせて、英語を強化したい場合は活用してください。
分量は標準的だが難易度が高い
『英文読解の透視図』に掲載されているテーマは全50個と、量としてはそれほど多くありません。ただし、1つ1つのテーマの難易度が非常に高いのが特徴です。
全体としては3章から構成されていて、一般的な文法や読解の教科書と比べると少ないように思えますが、各章でテーマとなっている項目は受験英語の中でも特に理解が難しいものばかりなので、濃い学習が可能です。1章では英文の構造を把握することがテーマとなっていて、続く2章と3章の学習を進めるために理解しておきたい文法について解説されています。
よくある構文の解説では文章にSVOCが振られていて、意味構造がわかりやすく図解されていますが、『英文読解の透視図』の場合は構文の解説がほとんど文章で説明されているので、英語の基礎力が完成している人でないと理解するのは難しいでしょう。2章では、難しい英文には頻出の文法項目である省略や倒置、挿入、強調などの構文が解説されています。
これらの構文はパターンが多いので、どういう省略や倒置が起こるかをたくさん記憶しておくことが重要です。『英文読解の透視図』では、英語の例文の後に、テーマとなる箇所の読解に必要な文法事項がまとめられていて、それをもとに下線部訳が解説されているという構成になっていますので、ここに登場するパターンをきちんと把握できれば、本番の入試でも迷わずに読解できるようになるでしょう。
最後の3章は、仮定法と比較表現です。仮定法と比較表現は、文章に含まれる節が増える分、読解や和訳が難しい分野です。こちらも、どのようなパターンの問題が出題されるかを学習して、構文理解に基づいて読解する方法が解説されています。
掲載されている例文の内容、そして解説の両方において難易度が高いので、英語が得意な人にとってはやりがいのある教材といえます。
『英文読解の透視図』の効果的な学習方法
この教材は難易度が高いですが、参考書の構成としては比較的親切なつくりとなっています。最初のページから順番に読み進めていける講義形式の参考書になっているため、1つずつ読みこなしていけば最後まで通して勉強できるのが特長です。
また、別冊の付録として「英文読解再入門」という薄い小冊子がついていて、『英文読解の透視図』を勉強するにあたって最初に知っておくべき文法知識がまとめられています。別冊の小冊子で解説されている内容は、品詞の種類や基本的な文型の構造、そして入試に頻出の動詞の語法などについてです。
ただし、一つ一つの文法事項についての細かい解説があるわけではなく、あくまでも要点が整理されているだけのものとなっています。この「英文読解再入門」の小冊子を読んでみて、書かれている内容がスラスラと頭に入ってくるようであれば、『英文読解の透視図』で学習するのに十分な英語の基礎力が身に付いていると言えるでしょう。
逆にこの小冊子の内容を見ても意味がよくわからないという人は、標準的な難易度の英文読解教材をしっかり仕上げて、早慶レベルの英文を読みこなせるようになってから取り組むのがおすすめです。また、この教材で解説されている文法事項や単語は、ただ読むだけでなくノートなどに書き写して覚えやすい形に整理するのが良いでしょう。
教材のレイアウトとしては教科書のような感じで、覚えやすい形の工夫などは特にされていないので、単語カード形式にしたり、ノートやルーズリーフにまとめたりして、別途記憶をチェックできるように自分で工夫してください。
解説を読んでわかったような気がしても、きちんと記憶を整理しておかないと解けるようにならないので注意が必要です。解説を見ずに、ノーヒントでも自分の言葉を使って内容を説明できるくらいまで、『英文読解の透視図』に書かれている内容を繰り返し学習していきましょう。
志望大学の過去問のレベルと比較してから取り組もう
『英文読解の透視図』は非常に難易度の高い教材なので、無理に背伸びをして解いてもあまりメリットがありません。かならず、自分が志望する大学の英語の入試問題のレベルと比較してから取り組むようにしましょう。
すでに90点取れる得意科目を100点に伸ばす努力は、60点しか取れない苦手科目を70点にアップさせる努力と比べると膨大な時間が必要になってきます。受験という目的で考えれば、どちらも同じ10点アップですので、苦手科目を普通レベルに補強する学習の方が勉強時間に対してのコストパフォーマンスが高いです。
『英文読解の透視図』に取り組める時点で、英語の基礎力は十分についていることが予想されますので、必ず志望大学の入試問題のレベルやほかの科目の学習状況のバランスを考えて取り組むようにしましょう。
まとめ
今回は、ハイレベルな読解教材『英文読解の透視図』の特長と学習における注意点をご紹介しました。入試対策に余裕があり、かつ英語で高得点を狙っていきたい人はぜひ取り組んでみてください。ただし難易度は非常に高いので、他の科目とのバランスを見ながら必要に応じて学習を進めていきましょう。